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日本で一番東にある古本屋〈道草書房〉のブログです。 本やそれにまつわる色々についてのよもやま話です。






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みちくさ(道草書房店主)

Author:みちくさ(道草書房店主)
専門分野は、ミステリ・文学、それと郷土(北海道/根室)関係をちょこっと。
日本の片隅で細々と商いをしている、古雑誌をこよなく愛するおっちゃんです。



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【店主の読書ノートその11】『ツァラトゥストラの翼』(岡嶋二人著、講談社刊)
zarathustra


1980年代の半ば、昭和で云えば60年代、私サトーの高校時代に、ゲームブックというものが流行した。作品にはファンタジー系のものが多く、休み時間なんかにみんなでワイワイ騒いだものである。

今では見なくなったゲームブックだが、どういったものだったか簡単に説明すると……。

物語は一章から始まるのだが、そのままページ順に読んでいくのではない。
パラグラフが細かく分かれており、その末尾に次に進むべき章の番号が書かれている。
読者は、その指示に従って章から章へと番号を辿って行く。
途中、二者択一や三者択一の場面―例えば、怪物と戦うor逃げるなど―があり、その選択によって次に進む番号が違ってくる。
それにより、筋書きがが幾通りにも変化し結末も変わってくる、というのが最大の特徴。

物語のはじめに最終的なゴールが提示されており、それをクリアすれば終了。出来なければゲームオーバー。

つまりは、RPG(ロール・プレイング・ゲーム)の小説版である。

そのゲームブックであるが、RPG系のコンピュータゲームソフトに取って代わられ、90年代には衰退していった。一時期は、爆発的に人気を博したものではあるが、結局、過渡期の徒花であったのだろう。

本書『ツァラトゥストラの翼』は、そんなブームのさなか、1986年に刊行された謎解きを題材にした作品である。作者は、当時上り調子だった江戸川乱歩賞作家の岡嶋二人。

物語は、“ツァラトゥストラの翼”と呼ばれる秘宝探しと、所有者であった富豪殺害の犯人を見つけることを依頼された私立探偵が、“あんた”に協力を求める、という体裁となっている。ストーリイは、探偵が“あんた(=読者)”の指示どおりに、関係者を訊問したり、現場を歩き回ったり、というカタチで進行していく。

で、24年ぶりに挑戦してみたところ……。

1日目。殺人事件の犯人探しを優先するものの、そこまで辿り着けず―。失敗。
2日目。殺人事件の犯人は突き止めたものの、お宝は見つからず―。失敗。
3日目。捜査の手順を工夫し、真犯人を割り出すとともに、秘宝も手に入れる。大成功。

なんやかんやで、クリアするまで3日間かかってしまった。
しかし、結構愉しめました。
どうやら両方成功するには、たった一つの道しかないみたい。

ちなみに、本書に出てくる暗号ですが、解き方は本書には出ていません。当時、編集部にハガキを申し込めば解読方法が送られる仕組みになっていました。もちろん、その手続きはしてあって、ハガキはちゃんと本の間に挟まっておりました。
(おかげで、暗号解読の手間が省けた、というのはナイショ。)

ヘンに凝ったRPGよりも、お手軽でいいかも。




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